IPX4やIP55は、防水機能の有無ではなく、どの程度の水まで耐えるかを段階で示した等級です。
国際規格IEC 60529(日本ではJIS C 0920)で決められています。
どちらも「水に強い」ことは示しますが、「水洗いできる」という意味ではありません。
この違いを知らずに洗ってしまい、故障させる例が後を絶ちません。
IPのあとの2桁は、ホコリと水を別々に採点した数字です
IPに続く1桁目は固形物、つまりホコリに対する保護の等級です。
2桁目が、水に対する保護の等級を表します。
IP55なら、1桁目の5がホコリ、2桁目の5が水の等級です。
IPX4のXは「ホコリについては試験していない」という意味で、0点という意味ではありません。
つまりIPX4は、水の等級だけを示した表示です。
4と5では、想定している場面が違います
水の等級4は、あらゆる方向からの水の飛まつに耐える段階です。
汗、小雨、洗面所での水はねを想定しています。
等級5になると、ノズルから噴き出す水に耐える段階へ上がります。
屋外の作業や、強い雨の中でも使える水準です。
完全に水へ沈めてよいのは、等級7以上の表示がある機種だけです。
数字が大きいほど耐えられる水の量が増えます。イヤホンの主流はIPX4とIP55です。
ソニーのWF-1000XM6はIPX4、サウンドコアのLiberty 5はIP55と公表されています。
同じ「防水」でも、雨の日の屋外作業まで想定しているかどうかが違うということです。
防水等級は壊れない保証ではなく、試験で確かめた範囲の記録です。
試験は常温の真水で、短時間だけ行われます
等級の試験に使われるのは、常温の真水です。
汗に含まれる塩分や皮脂、海水、洗剤、温泉のお湯は想定されていません。
試験時間も数分単位で、長時間の使用を保証するものではありません。
水温の差も条件の外にあります。
冷えた本体に熱いお湯をかけると、内部の空気が縮んで水を吸い込みます。
「IP55だから浴室でも平気」とはいかない理由が、ここにあります。
充電ケースは、多くの場合等級の対象外です
防水等級はイヤホン本体に付けられるもので、充電ケースは含まれないのが一般的です。
ケースの内側には充電端子がむき出しになっており、水が入れば接触不良や腐食が起きます。
汗で濡れたイヤホンをそのまま戻すと、ケースの中に湿気がこもります。
ポイント: 使ったあとは乾いた布で拭き、汗をかいた日は数分置いて乾かしてからケースに戻してください。
水没による故障は、等級に関係なく保証の対象外です
メーカーの保証は、通常の使用で起きた不具合を対象としています。
水に沈めた、水道で洗った、洗濯機に入れてしまったという事例は、表示された等級にかかわらず対象外です。
本体の内部には水濡れを判別するシールが入っており、修理の受付時に確認されます。
有償修理の額は、機種によっては買い直しに近くなります。
規格の原文は、日本産業標準調査会の検索システムから確認できます。
購入前に見るべきは、広告に並ぶ「防水」の二文字ではなく、仕様欄の等級表示です。
IPX4なのかIP55なのか。その一行が、安心して使える場面を決めます。

