要点
- 走行をやめる目安: 水深 約30cm
- ドアが開かなくなる目安: 車外の水深 約60cm
- 最優先の行動: エンジンが止まる前に窓を開ける
- 備えておく道具: 緊急脱出用ハンマー(シートベルトカッター付き)
冠水した道路で車が動かなくなったとき、最初にやることは窓を開けることです。
ドアを開けようとするのは、そのあとです。
車外の水位が上がると、水圧でドアはほとんど開かなくなります。
窓さえ開いていれば、そこから外に出られます。
水が入る前に窓を開けることが、脱出の第一手です
電動ウィンドウは、エンジンが止まってもしばらく動くことがあります。
ただし配線が水に浸かれば、その時点で操作できなくなります。
迷っている時間そのものが、選べる手段を減らしていきます。
異変を感じた段階で、運転席と助手席の窓を下げてください。
水深30cmで走行をやめ、60cmでドアは開かなくなります
一般に、水深10cmを超えるとブレーキの効きが落ちるとされています。
30cmを超えるとエンジンが止まるおそれがあり、走り続けることは現実的ではありません。
横軸は車外の水深(0〜100cm)。緑の範囲は走行を判断できる目安の水深です。
50cmを超えると車体が浮き、流されることもあります。
車が浮けばタイヤは路面をつかめません。ハンドルもブレーキも効かなくなります。
そして車外の水深が60cmに達すると、水圧でドアはほぼ開きません。
ドアが開かないのは故障ではなく、水圧という物理の問題です。
ポイント: 立体交差の下をくぐるアンダーパスは周囲より低く、短時間で深く冠水します。冠水した場所に進入しないことが、最大の対策です。
窓が開かないときは、サイドガラスの隅を割ります
フロントガラスは2枚のガラスで膜を挟んだ合わせガラスで、叩いても割れません。
割るのは、運転席や助手席のサイドガラスです。
強化ガラスなので、一点に力を集中させれば砕けます。
狙うのは中央ではなく、窓の四隅です。
緊急脱出用ハンマーは、運転席に座ったまま手が届く場所に置いてください。
トランクや後部座席の足元に入れていては、いざというときに取り出せません。
シートベルトの金具が外れない場合に備え、カッターの付いた製品を選びます。
ハンマーには叩くタイプと、押し当てるだけで作動するスプリング式があります。力に自信がなければ後者です。
プライバシーガラスや断熱ガラスでも、サイドガラスであれば強化ガラスなので割れます。
後席の窓が半分までしか下がらない車種もあります。同乗者の脱出口は前席側だと考えておいてください。
車内に水が入りきると、ドアは開くようになります
内側と外側の水圧が等しくなるためです。
ただしその時点で、車内はほぼ水で満たされています。
窓を割る手段もシートベルトを切る手段も尽きたときの、最後の状態と考えてください。
はじめから狙う手順ではありません。
一度水に浸かったエンジンは、再始動を試してはいけません。
吸い込んだ水は圧縮できないため、始動をかけた瞬間にエンジン内部を壊します。
同乗者がいる場合は、先に外へ出す順番を口に出して決めておきます。
外に出たあとは車から離れ、高い場所へ移動してください。
雨の降り方と土砂災害・浸水の危険度は、気象庁の分布図で地図として確認できます。
自宅と通勤路の浸水想定を調べるハザードマップポータルサイト →
冠水しやすい場所は、ハザードマップで事前に把握できます。
車を出す前に確認する習慣のほうが、脱出の技術より先に効きます。

